Maneater(マンイーター)
発売日:2020/05/22
日本ストアで配信中(対象年齢18歳以上)
日本語字幕対応
Xbox One Xエンハンスド:×
4K:×
HDR:×
レビュー執筆時のプレイ時間:ゲーム全体の達成度90%ほどでおよそ25時間(クリア時23時間)
【好きなところ】
・自キャラがサメ
・シングルプレイのシンプルなアクションRPGシステム
・単純ながら基本を押さえたミッション構成
・自身を成長・進化させることで驚異的なパワーを身に着けられる
・個性的な敵キャラ(ピート)
・冒頭のシナリオ展開とチュートリアルの両立のさせ方
・とにかく単純で爽快、水中を泳ぐ気持ちよさ(たまに水上にヒレを出すのも良い)
・意外とバリエーションのある風景描写(地上・水中ともに)
【イマイチだったところ】
・敵のロックオンがない(Rスティック押し込みで敵の方を向くことはできる)
・どのエリアも基本的にやることは同じ
・サメの進化にもう少しはじけた要素があってもよかったか?
・日本語ローカライズのクオリティが低い
【まとめ】
このゲームの情報が出た当初、『サメになって人間と闘うRPG』と知ってとてもわくわくした。
サメのゲームは過去にもDepthなど遊んだことはあり、サメになる楽しさはわかっていた。
だからこそ今回のManeaterにもとても期待していた。
だって自分がサメになれるんだから!
※参考:Depth(PC)
このゲームは前述したようにシングルプレイ専用のアクションRPG。
サメとして水中の魚やワニ、あざらしなど多様な生物を食べることで栄養を摂取し、自身のパワーアップ&レベルアップをしていく。
RPGとしては非常にシンプルなつくりになっている。
栄養素には4種類あり、
タンパク質(赤):おもにワニ・サメなど敵対的な生物や人間から摂取
脂肪(黄):各種小魚、アザラシや人間から摂取
ミネラル(青):ウミガメと人間から摂取
突然変異源(緑):アルビノ個体(白い個体)から摂取
というふうに分けられている。
水中生物や人間を食べることでそれぞれの栄養素を摂取し、同時に体力回復、経験値獲得をしていくのが基本的なシステムとなっている。
各栄養素は特殊能力をレベルアップ(ティア1~5)させるのに必要だ。
また各栄養素は各地に設置された宝箱からも大量に摂取できる。(コレクタブル要素でもある)
どんどん食べてどんどん成長させる、非常にわかりやすくサメらしいシステムである。
ただし、人間を食べる時は注意が必要だ。
人間を攻撃していると悪名メーターが上がっていく。
そうすると沿岸警備隊やサメハンターがやってきて攻撃されることとなる。
サメがいかに強力な力を持つとはいえ1対多数の戦闘はなかなか歯ごたえもある。
序盤は特に気を付ける必要もあるだろう。
また、悪名メーターがいっぱいになるとハンターリーダーがやってくる。
彼らは通常のハンターより強力な装備をしているが倒すことで報酬(3種の栄養+スキル)を得られる。
シナリオもなかなか良い。
このゲームはサメハンターに密着するドキュメンタリー番組の体をとっている。
番組の主人公はスケイリー・ピートという代々サメハンターを生業としてきた男。
一方プレーヤーの操るキャラは生体のメスのサメ。
チュートリアルの時点で圧倒的なパワーを見せつける。
その両者が対峙するところからゲームが始まる。
互いの死力を尽くした戦闘の末、ピートは右手の先を食いちぎられるが母ザメを討伐。
腹を裂くとそこには一匹の子ザメが。
ピートは取るに足らない相手としてその子ザメを投げ捨てるのだが、子ザメはピートの食いちぎられた右手(いわば母の残した形見)を喰うことで生き延びる。
そして復讐を誓うのだ。
子ザメに戻ったプレーヤーはいちからもう一度成長していく。
このチュートリアルとシナリオの組み合わせ方はとてもうまいと思う。
子ザメに感情移入しやすい作りだ。
その後もピートとは幾度となく対決する。
そのたびにテレビの中継のようなムービーが挿入されて、雰囲気を盛り上げていく。
ナレーターはクリス・パーネル氏、サタデーナイトライブなどの司会をされていた方のようだ。
それだけに軽妙な語り口でサメのインチキな(?)生態や番組のナレーションが挿入されるのはなかなか面白い。
全体的にみると、新マップ到達→拠点となる洞窟発見→ミッション・コレクタブル探索→エリアボス討伐→新マップへ、の繰り返し。
若干単調になってきたかな~というあたりでクリアできたのでこれ以上長かったら投げ出していたかもしれない。
程よい長さ(クリア時23時間、おそらくもう少し短い時間でもクリア可能)だったと感じた。
最後に気になった点をいくつか。
個人的にB級サメ映画が好きなもので、進化のパターンが意外とリアル寄りだったのが残念だった。
もっとふざけた進化のパターンが欲しかった気もする。(首が三つになったり、タコ足がついたり…)
ボスの種類がそれほど多くなく、戦闘パターンも多いわけではないのでごり押しで倒せてしまうのはちょっと物足りない。(難易度設定は無し)
巨大なクラーケンとか出てきてほしかった…。
あとはなんといっても日本語翻訳に関する問題だ。
ゲームを初めてすぐにアザラシが『密閉』と訳されていてびっくり。
ただこれは、ゲーム開発会社が翻訳家の方に画像や設定書などなしで英文だけを渡して翻訳させた可能性もあるので、sealを密閉と訳してしまったのかな?と思っていた。(この場合はsealはアザラシを訳すべき)
だが、ヨットを『世っと』、オルカ(シャチ)を『オクラ』とされたのでは擁護の使用もない。
ただの機械翻訳なのか、日本語ネイティブではない方の翻訳だろう。
このことにより、宿敵であるはずのピートのキャラ設定がブレブレになってしまっていたのがとてももったいなく感じた。
粗野で野蛮、サメを殺すためなら何物をも犠牲にする。
でも息子のことは頼りないと思いつつも愛している、そんな男の口調が統一されていないせいで日本人にとっては違和感しかない結果に。
ローカライズはただ翻訳するだけではなく、キャラクターや世界観を表現するものだと思っている。
だからこそ、日本語の言い回しの多彩さゆえ、翻訳時に気を回さないと全てを台無しにする可能性があるということは海外メーカーさんに理解してほしいところだ。
なんにせよ、シングルプレイのアクションRPGとしてしっかり作られているので、この手のジャンル物が好きな方にはお勧めできる。
サメになって人間を食い尽くすの楽しいですよ!
2020/05/25 中の人1号 ナヴェ